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はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

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ヒナおじいちゃんに会いに行く 100 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

ヒナがこの国に来て三年と半年が経とうとしている。

最初は言葉がわからず、一年ほどはほとんど喋らずに過ごした。一年が過ぎた頃、ようやくジャスティンと会話が出来るようになった。アダムスのおかげだ。何人か入れ替わりで家庭教師が雇われたものの、ヒナと相性が合ったものは他にいなかった。言葉が通じても心は通じ合わなかったのだ。

ヒナはアダムスに会った瞬間この人なら大丈夫と思った。アダムスはヒナがたどたどしくしか喋れなくても、一度も笑ったりはしなかった。そもそも前任者は、ヒナを喋らせることすら出来なかった。

その当時、ジャスティンの近侍だったフォックスがヒナは怖かった。フォックスがそばにいると気軽にジャスティンに近付けなかったし、だらしない格好をしているとひどく蔑んだ目で見られた。ジェームズも似たようなものだったが、ジェームズはヒナをジャスティンの付属物として受け入れてはいた。

だからフォックスが去ってウェインが現れ、ヒナは味方を得たようで嬉しかった。同時に自分にもちゃんとしたお世話係――つまりはダン――が付けられて、一気に味方は二倍になった。

それからヒナはどんどん言葉を覚えて、生意気な口も利けるようになった。大好きなジャスティンに避けられたりもしたけど、今では寝室も一緒だ。二人はこれからもずっと一緒だろう。

「ヒナ、今日はおじいちゃんに会えて本当によかったね」ヒナの初めての友達カイルがにこにこ顔で言う。

「うん。カイルも一緒に手を振ってくれてありがと」ヒナも笑顔で返す。

「僕だってなかなかいい役目をしたと思うけど?」と、なぜここにいるのかさっぱり理解できないトビーが言う。

ヒナはトビーのことはよく知らないし、興味がなかった。ただダンとブルーノの仲を邪魔しなければそれでいい存在。でも、協力してくれたことは事実としてある。

「ありがと、トビー」ヒナはおずおずと感謝の言葉を告げた。勝手にトビーと呼んだら怒られそうな気がしたからだ。

「でももう変装はしないぜ。バーンズさんに怒られるからな」トビーは得意げに鼻の下を指で擦った。

「ジュスは怒らないよ」ヒナはこそこそと付け加え、さいころを振った。まだゲームの最中だ。三マス進む。

「わぁ~ヒナすごい!株で五千ポンドもうけだって」カイルはヒナが駒を進めるのを見ながら歓声を上げた。とはいえ、ヒナには五千ポンドの価値はまったくわからなかった。

次はトビーがさいころを転がした。「うわっ!馬車が壊れてふりだしに戻るだってさ。そんなのってある?」

「いいから戻せ」スペンサーがぐずぐずするトビーにぴしゃりと言う。次はスペンサーの番だ。

六が出た。

リンゴ園が雹にやられて大損害。家を失う。

トビーはざまあみろと言わんばかりにげらげらと笑い、ブルーノとカイルも同じくらい大声で笑った。ヒナはみんなが楽しそうなのでつられて笑った。

ヒナはいま幸せだった。

過去にはつらいことがたくさんあった。いまでもまだつらいことはある。おじいちゃんの事とか……。でも、ヒナの周りには支えてくれる人、愛してくれる人がいる。

ブルーノがさいころを転がし、次にカイル転がし、そしてまたヒナの番が来た。

ゴールはもうすぐ。ヒナは念を込めて手の中でさいころを転がす。ゴール手前に全財産を失うマスがある。ドキドキする。

「あと四マスか。代わりに振ってやろうか?」

気付けば背後にジャスティンがいた。さいころを渡してもよかったけど、ヒナは自分で勝負を決めたかった。

ヒナはにこりと笑って、ジャスティンを仰ぎ見た。

「ヒナに任せて」


おわり


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あとがき
こんばんは、やぴです。
ヒナおじいちゃんに会いに行く編はここで終了です。
たぶん次は実際に会いに行けるとは思うんですけど、ちょっと先になりそうです。 
最後にパーシーの出番がなくてごめんね(^^;

ここまでお付き合いくださったみなさま、ありがとうございます。
また、お知らせしますね。

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ヒナおじいちゃんに会いに行く 99 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

今夜は気分が良かった。

その理由は色々あったが、何はともあれヒナが目的を果たした。すべて計画通りとはいかなかったが――そもそも、これまでヒナのすることで計画通りに事が進んだことなどないのだから、すべては想定内という事だ。

後々問題は出てくるだろうが、それはまたその時に対処すればいい。

食事を終えデザートを食べるため居間へ移動した直後、ジャスティンはジェームズに呼ばれ廊下に出た。

どうやら訪問者は実家の人間だけではなかったようだ。

「なぜ前に来た時に言わなかった」ジャスティンは寝耳に水のような報告に苛立ちをあらわにした。自分の知らないところでジェームズが対処する案件はいくらでもある。だが、これに関しては最初の時点で報告が欲しかった。

「その時はフォックスの目的が定かではなかったし、正直なところ、また来るとは思わなかったんだ」

「今はもうわかっているのか?」その目的とやらは。

「だから報告している」ジェームズは誰にものを訊ねているのですか?というように方眉をつり上げた。

「それであいつは何を要求している?まさか復職か?」ジェームズの表情を見る限り、そのまさかのようだ。「今は人手は足りている」

「だからそう説明したんだが、納得はしていないだろう。今日のところは引き下がったが、おそらくは、また来る」

そもそも、仕事を辞めると言いだしたのはフォックスの方だ。こちらがクビにしたわけでもない。あまりに突然のことで、引き留める間もなかった。理由はおそらくヒナの存在。とにかくフォックスとヒナの相性はよくなかった。

その結果、ウェインを側に置くことになったのは幸か不幸か。まあ、ヒナと仲良くやっているのだから、この人選は成功だったということだ。

「念のため、ロシターにスペンサーたちを送るように言ってくれ。下手に接触されては困るからな。少し帰る時間を遅らせておいた方がいいだろう。これからヒナとゲームをするんだろう?」

「ボードゲームをダンが用意していたから、もうしばらくは帰らないでしょうね。あ、それと、お祝いは明日の朝手配します」

実家からの使者は、ニコラが無事男の子を出産したという喜ばしい知らせを持ってきた。これで公爵家も安泰だ。父や兄は大喜びしていることだろう。

「そう急ぐ必要はない。こっちにいるわけじゃあるまいし。ヒナがプレゼントを選びたいと言っているから、それと一緒に持って行けばいい」

「ヒナを連れてご実家に行ってみては?」

「冗談はやめろ」ジャスティンはぞっとした声を漏らした。

ジェームズは失笑しながらその場を立ち去り、ジャスティンはゲームをするため居間に戻った。
つづく


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ヒナおじいちゃんに会いに行く 98 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

ミスター・アダムスは母親が家で待っているからと言って、晩餐には参加せず帰って行った。旦那様のご厚意により、お土産をたっぷりと持って。

エヴァンは空になった食前酒のグラスをテーブルに置き、食事の始まりをシモンに告げた。

今夜のシモンはごきげんだ。客を迎えていつもよりも忙しいというのに、時折ハミングしている。理由はヒナが誰も想像しなかったことをやってのけたからだ。

こっそりその姿を見るだけだったはずが、気付けばヒナは大きな声を出しておじいちゃんに手を振っていた。エヴァンからすれば、伯爵はおじいちゃんなどと気安く呼べるような存在ではなく、気難しく頑固で愛らしい孫を受け入れようとしない愚かな老人でしかない。

シモンは「わたしがこしらえたバスケットのおかげさ」と鼻高々。旦那様を始め、ジェームズ様もクロフト卿も肝を潰しているというのに、それすらも笑い事にしてしまった。

確かにあの場にいたエヴァンでさえ、最初こそ驚いたもののしばらくして笑いの発作に襲われたほどだ。もちろん唇を噛んで我慢した。ウェインやダンとは違って自分の仕事を心得ているから。

ヒナのすべてを命を掛けて守ること。それがエヴァンに与えられた役目だ。

今回、ヒナを狙うような輩は見受けられなかった。だが、旦那様の言うように一度狙われた命だ。次があってもおかしくはない。

「さあ、エヴァン。冷たい料理は冷たいうちに頼むよ。ほら、おまえたちは皿を並べるんだよ」シモンの威勢のいい声に、見習いたちがハキハキと返事をする。

いつまでたってもキッチンにいい人材が定着しないのは、シモンが面倒な男だからだ。機嫌が良ければいいが、悪ければ仕事にならない。この屋敷にヒナがいなかったらと思うとぞっとする。ヒナだけが、無条件でシモンの機嫌を直せるからだ。

エヴァンは苦々しい顔つきで、キッチンを後にした。今夜はロシターが中心となって給仕をすることになっている。もちろんすべてを取り仕切るのはホームズなのだが。

地階は活気に満ちていた。まるでお祭り騒ぎだ。それだけヒナが愛されているということだが、喜んでばかりもいられない。もしも伯爵がヒナに気付いてしまっていたら……。いや、このことは考えるのはよそう。もしも問題があっても旦那様がなんとかなさるはずだ。

「ああっ!エヴァン、いいところに」ダンが慌てた様子で廊下をやってきた。今夜は仕事を免除されているのに何事だ?

「どうした?」

「裏口にまたあの人が――」ダンは口元を手で隠すようにして、こっそり告げる。

「あの人?――まさかフォックスか?」エヴァンは眉間に皴を寄せた。先日ジェームズ様が追い払ったばかりだ。

「はい。追い返そうとしたんですけど、僕の言うことは聞いてくれなくて」フォックスに相手にされなくてダンは不満そうだ。

「ホームズさんには知らせたのか?」この屋敷で問題が起こった場合、まず報告するべき相手はホームズだ。

「それが、玄関で来客の応対中で」

「客?気付かなかったが」

「どうやら公爵邸からの使いのようです」

「旦那様に何かご用なのか?先日呼び出されたばかりだろう?」

「さあ……」ダンは首を傾げ、ちらりと裏口の方に目をやる。

今はとにかくフォックスだ。

「フォックスはわたしがなんとかする。ダンはこのことをジェームズ様に知らせてくれ」

つづく


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ヒナおじいちゃんに会いに行く 97 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

「せめてひと言くらい前もって言えなかったのか?」

憮然として訊ねれば、相手も憮然とした表情で返事をする。

「急だったもので」

急と言ったわりにはあまりに用意周到だったようだが、ジャスティンにそれを指摘する気はなかった。本来、公園のどの場所も誰もが自由に立ち入ることが出来る。一時的に封鎖していたとは言え、立ち入った者を咎めることは出来ない。逆に監視の目をくぐり抜けてあそこまで侵入したことを褒めてやるべきかもしれない。

「トップハットがよく似合っていたと報告を受けたぞ」さすが帽子屋で働いているだけはある。

「借り物です」スペンサーは真顔で答える。余計なおしゃべりをする気はないようだ。

「そうだろうな」と言いながら、隣で俯いたままのトビーを見る。過去に何があろうとも、帽子屋に居着き何を企んでいようとも関係ない。ヒナに害を及ぼすかどうか、それが重要だ。

見る限り、狡賢そうではあるが害になるようなことはないだろう。純粋であれ不純であれ、今回の計画に協力しようと思っての行動には違いない。

「以上だ。次はないと思え」ジャスティンは冷淡に言い放ち、二人の反応を見た。

スペンサーもトビーも相当覚悟してここへ来たようだ。だが、たいしたことも言われずさがれと言われ困惑しているように見える。

「返事はなしか?」ジャスティンは兵卒を率いる隊長のように訊ねた。

「はい!いえ、いいえ。次は気を付けます」スペンサーはすぐに答えた。

「トバイアス、お前はどうだ?」

トビーはそこで初めて自分にも発言する権利があるのだと知って驚いた顔をした。「僕も気を付けます……」ぼそぼそと答える姿はいたって普通の少年で、わが家の優秀な使用人が男だと見抜けなかったほど、とは見えない。

「まさか、ドレスを着るとは」ジャスティンはくつくつと笑った。「なかなかやるな。だが、それもこれっきりにしてくれ。ヒナが真似したいと言い出したら困るからな」

「はい、もうしません」

「それでいい。ところで、スペンサー。叔父さんも招待した方がよかったか?」もしそうだとしたら、遅すぎることはない。今すぐにでも――

「いいえ、それには及びません。今夜は会合があるそうなので」スペンサーはご心配なくというように、ニヤリと笑った。どうやらこちらが苦手としていることに気付いているようだ。

それからすぐに二人は出て行き、昼寝から目覚めたヒナが着替えを済ませてジャスティンの前に現れた。

背中まである髪はおろしたままで、深緑色の上着と膝丈ズボン姿はまるで森の妖精のようだ。

「ただいま、ジュス」ヒナは気恥ずかしげにもじもじと歩み寄り、少し離れた場所でつと立ち止まった。

「おかえり。ここにおいで」ジャスティンは自分の膝をぽんと叩いた。

「スペンサーのこと怒ったの?」ヒナはじりじりとにじり寄る。

「怒っちゃいない。ただ、一緒に出掛けたいならそう言ってくれればよかったのにって言っただけだ」大雑把に言えばそういうことだ。間違ったことは言っていない。

「よかった。ヒナのことは、怒ってる?」

「どうして?怒られるようなことしたか?」

「んー、してないと思う」ヒナはわざとらしく考えるふりをして答え、ジャスティンの膝にちょこんと座った。

「おじいちゃんに会ってみてどうだった?こっちを見てくれたんだろう?」心配は色々あれど、今はただヒナが喜んでいればそれでいい。面倒は後でまとめて引き受ける。

「おじいちゃん背が高かった。お母さんも背が高かった。似てる」

「親子だからな。ヒナもこれから背が伸びるんじゃないのか?」

「そうかな?ヒナ、ジュスみたいに大きくなりたい」

それを聞いてジャスティンはヒナをぎゅっと抱き締めた。

大きくなんてならなくていい。ヒナはヒナのままでずっと傍にいてくれればそれでいい。

つづく


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ヒナおじいちゃんに会いに行く 96 [ヒナおじいちゃんに会いに行く]

着替えを済ませたスペンサーは、トビーを連れてバーンズ邸へと向かった。

トビーは行きたくないと駄々をこねたが、二人して呼び出しを受けたのだから仕方がない。そう、これは招待ではなく呼び出しだ。きっと、無断で計画に加わったことを責められるに違いない。

出掛ける少し前の事だ。玄関で靴の埃を払っていると、バーンズ邸からだという使いの者がやってきた。見たことのない顔だったが、いかにもあの屋敷にいそうな面構えだった。整った顔立ちに漆黒の髪。感情などというものは最初から知らないといった表情が、否が応でもロシターを思い出させた。

おかげですこぶる不愉快だ。

「僕が変装してたってバレたのかな?」珍しくトビーは不安そうだ。いつも自信たっぷりかと思えば、急に弱々しい姿を見せる。こういうところが、つい子供扱いしてしまう要因だろう。

「ブルーノは気付いていたぞ。おおかた告げ口でもしたんだろうな」

「ブルーノはそんなことしないよ」隣を歩くトビーは、首をぐいっと反らせてスペンサーをねめつける。どこかおどけたふうなのは、スペンサーの言葉が冗談だと思っているからだ。

こっちは本気だ。「お前はブルーノを買い被りすぎだ」スペンサーはトビーの鼻を指先で弾いた。ほんと、腹の立つやつだ。

「妬いてんの?」トビーは弾かれた鼻を擦り、ニヤリと笑う。

「馬鹿か」そう返しながらも、あながち間違ってはいない気がして目を逸らした。

トビーを取り合ったのはもうずいぶん前のことで、今回のこともけりがついた。お互い利用し合っていただけで、特別な感情などなかったのだ。

「そっちこそ馬鹿言ってないで、怒られに行くよ」

さっきはあれほど行きたくないと文句を言っていたくせに、よくわからないやつだ。クラウドのしつけの賜だろう。が、狡賢いやつだ、気を許すと後で痛い目を見る。

怒られるとわかっていながらも、二人は通りを急いだ。招待されているとはいえ、正面のドアを叩く気にはなれず、裏口へまわった。

さすがウォーターズ。

「旦那様がお待ちかねです」ご丁寧にもロシターの出迎え付きだった。

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
こんなペースですみません。
100話めどです。 

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